中医学概論
中医学の特徴
西洋医学と中医学の違いは何でしょう。西洋医学を検査医学とすれば、中医学は観察医学といえます。中医学は全身を、西洋医学は局所を重点にしているともいえます。人体の全体を見て、陰陽や気血のバランスを見極めて、陰陽気血を調和させることは、西洋医学の検査分析を重視した方法と大きく相違しています。
中医学の哲学思想
天人合一理論 | 人間と宇宙・自然のかかわりを重視する。自然界を大宇宙とし、人間を小宇宙とする。 |
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抗老防衰 | アンチエイジング |
心身一如 | 心と体は切り離せない関係で、心と体がともに健康であることが理想的。 |
子午流注 | "子午" は時刻に合わせて "流注" は体の中の気血水の流れがあるとされ、自然界の流れに沿って人間が生活を営み、日々の体を労わる知恵が込められています。 |
子午流注の図
気・血・水について
気・血・水は人体を構成する基本的な物質です。これらにより生命活動、臓腑、経絡、組織、器官の生理的機能が維持されます。
気(概念)
中国古代哲学の根幹をなすのは「気」の思想であり、気は中医学においても重要なものとして用いられています。中医学の気の概念は、ときには「気候」、ときには「性質」、ときには「機能」および「機能物質」を意味します。物質の「気」とは、人体の構成と生命活動を維持する最も基本的な物質であり、肉眼で見ることはできないですが、人体のはたらきによって観察されます。
気の症状チェック
- ① 気虚(気の不足)
-
- 胃腸が弱い
- やる気がない
- 性力低下
- 風邪をひきやすい、寒がり
- 軟便・下痢
- 舌に歯形が付く
- 生理や不正出血がダラダラ続く
- ② 気滞(気の滞り)
-
- イライラ、憂鬱、怒りっぽい
- のどの詰まり
- 便が不安定
- 胸やお腹の張り、PMSが強い
- パニック・自律神経失調
- 神経過敏
- 不安神経症・憂鬱・ノイローゼ
- 生理周期が不安定で早まったり遅れたりする
血(概念)
中医学で、脈管中に流れる栄養を含む赤い液体を血といいます。血の機能は大きく2つあります。
① 全身を濡養する …… 血液は全身に循環し、営気を提供して臓腑組織の生理活動を維持しています。
② 神志(精神)活動の基本物質 …… 血流は脳の精神活動と密接に関連していて、血液の供給が充実することで正常に機能しています。
血の症状チェック
- ① 血虚(血の不足)
-
- めまい・立ちくらみ
- 眠りが浅い
- 乾燥肌
- 髪のぱさつき
- 爪がもろい
- 冷え症
- 生理不順
- 生理の量が少ない
- 産後の不調
- 肌の張り
- 内膜が薄い
- 生理周期が長い
- ② 瘀血(血の滞り)
-
- 手足の冷え
- 頭痛
- 肩こり
- 脳血管障害
- 認知症
- 顔色が悪い・シミ・くま
- 歯茎の色が暗い
- 生理痛・月経血の塊
- 生理の塊がある
- 痔
- 高血圧
- 高脂血症
- 高コレステロール血症
- 糖尿病
- がん
- 痛み・しびれ
水/津液しんえき(概念)
津液とは、体内にある血液以外のあらゆる正常な水液をいいます。汗や涙などの薄いものを「津」、胃液や関節液など濃いものを「液」とよんでいるが、実際には厳密に区別されていません。津液はただの水でなく、体内で多くの物質を溶かした溶液の状態で存在している。一般的に細胞外液、消化管液、気道液、生殖道分泌液、関節腔液、脳・骨髄液、汗、涙、尿など、すべてを含めた体液であり、生体の重要な構成成分です。
水/津液しんえきの症状チェック
- ① 陰虚(潤い不足)
-
- 乾燥肌、目や口の乾燥(ドライシンドローム)
- 手足のほてり・のぼせ
- こむら返り
- 寝汗
- 痩せやすい
- 生理が粘性
- 基礎体温が高め
- 生理周期が短い(特に低温期)
- ② 痰湿(水の停滞)
-
- 重だるい
- 肥満(BMI25以上)
- むくみ
- めまい・吐き気
- メニエール
- おりものが多い
- 多汗
- 体臭
- 脂性肌
- 肥満・水太り
- 便の不調(下痢・軟便)
- 多嚢胞性卵胞(PCO PCOS)
- 甘いもの・脂もの・お酒が好き
陰陽五行説
陰陽五行学説は陰陽学説と五行学説の総称です。中国古代の自然観と方法論であり、これによって、生命の起源、生理機能、病的変化などを説明し、予防、診断、治療の指針としています。
陰陽学説
① 陰陽の自然現象
陰陽は、もともと自然現象をあらわしています。自然界のすべての事物や現象を「陰陽」で分けて、太陽に面している側を「陽」、太陽の当たらない裏側を「陰」といいます。
「陰」は内側で、暗く、寒冷で、気流などが下降し、動植物の生長は衰退的、生物の活動も相対的に静止状態になります。
「陽」は外側で、明るく、温暖で、気流などが上昇し、動植物は生長しやすく、昆虫や動物の活動も活発になります。
陰陽学説は相互に依存や対立、消長や転化などの関係から森羅万象を説明する世界観が根本となっています。
② 陰陽理論
古代中国の哲学者は、陰陽の自然現象を理論化しました。これがいわゆる「陰陽理論」です。
五行学説
自然界の人体を含む宇宙間のすべての事物を五種(木・火・土・金・水)の性質に帰属させたもの。五行とは木・火・土・金・水の特性をもつ5種類の基本物質であると同時に、すべての事物が五行物質の相互作用、相互変化により構成されると考えられた。この概念は、臓腑弁証に応用されています。
五行の自然特性
生長・昇発・のびやかの性質。このようなイメージのものは、木の行に属します。 | |
炎熱があって、上昇する性質。このようなイメージのものは、火の行に属します。 | |
万物を蔵納して、植物の生長・転化を維持する性質。このようなイメージのものは、土の行に属します。 | |
清殺(つめたい)・変革の性質。このようなイメージのものは、金の行に属します。 | |
潤い・寒冷・下に流す性質。このようなイメージのものは、水の行に属します。 |
五臓の働き
肝 — 胆について
五臓の肝は、血液の貯蔵庫です。この血液は体中に栄養物を送り、老廃物を集めます。新陳代謝や自律神経系のコントロールをします。
肝‐胆のトラブルは以下の項目に挙げられるような症状が特徴的です。複数あてはまる場合、一度漢方相談してみてください。
- イライラして怒りやすい(月経前症候群PMSがある)
- みぞおちから左右にかけて上腹部が張る
- 出血傾向(鼻血、月経の止まりにくいもの)
- パニック障害、自律神経失調
- 気分が落ち込む
- 喉の詰まり
- 寝つきが悪い
- 睡眠の途中で目覚める
- 夢を見ることが多い
- 月経前に乳房が張る
- 月経周期が定まらない
- 月経痛が強い
- 口が苦い
- 酸っぱいゲップが上がる
- 下痢と便秘を繰り返す
- コロコロ便
- めまいがする
- 爪が脆い、二枚爪
- 肩こり
- 膝を痛めやすい
- 筋肉の引きつれ・こむらがえり
- 目の疲れ(眼精疲労)
- 涙目、ドライアイ
- かすみ目、ピント障害
- 視力の低下
- 静脈、青筋が目立つ
- 肝炎
- 脂肪肝
- 胆嚢炎
- 胆石症
- 顔色が青白い
- 赤ら顔になりやすい
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肝 — 胆についての中医学の考え方
ポイント!
肝は血を蔵す肝は目に開キョウする肝は疏泄機能低をつかさどる五志は怒自然界の春・風と関連がある肝は裏・胆は表肝は右の脇腹に位置して、体の中で一番血液が豊富に含んでいる臓器で、様々な機能を持ち、特に血液循環の調節と気の運行に重要な役割を担っています。中医学の肝は西洋医学の循環器系、中枢神経系、自律神経系などの作用と共通するところもあります。例えば、血液量の調節、器官の調節、精神情思活動などの機能を持っています。
肝は「疏泄」機能があり、体の隅々まで円滑に気血を巡らすことで、「疏」は精神、情緒の解放、物質の解毒、分解を指し、「泄」は処理排泄を指します。肝の疏泄には、全身の気の調節、消化吸収機能、血流調節、月経調節、気持ちの調節をします。
肝と胆は経絡のつながりばかりでなく互いに隣接していて表裏の関係であり、胆汁のもとは肝で生成され、その後胆で貯蔵され排泄されます。肝は血液の貯蔵庫として、血液の調節をします。休息や睡眠時には血液は肝に貯蔵され活動時には必要とする器官に送られます。この蔵血機能の低下により、月経過多、不正性器出血やその他の出血症状を引き起こします。
筋肉と骨についている腱、筋膜、靭帯などは肝の血液循環により栄養を送られて、機能が正常に行われるようにしています。肝血が不足すると筋に栄養が不足し、痙攣・しびれ・ひきつけなどが起こります。また肝血の状態は爪にあらわれます。
目は五臓六腑のすべてに関係がありますが、特に肝と密接な関連を持っています。そのため、視力低下や目のかすみなどは肝のチェックが行われます。ストレスをその都度発散しないで溜め込んでしまったり、非常に強烈なストレスを受けたりすると、肝の疏泄作用に影響して病気をひきおこしてしまいます。
春は寒い冬(陰)から暑い夏(陽)へ変化する季節です。また「春一番」の強い風が吹きやすい季節です。肝の失調により、ふるえ・痺れ・めまい・かゆみなどが起き、これを“内風”と呼びます。肝が裏、胆が表とします。胆汁の分泌・排泄は肝の疏泄機能により調節され、消化吸収と老廃物の排泄などと深く関係します。
心 — 小腸について
五臓の心は、心臓の循環機能のほかに大脳皮質における精神神経活動(心の働き)及び自律神経系の機能を含んだものとされます。このためこの他の臓腑の機能活動は心による支配のもとにあり、心は生命活動の中枢と呼ばれ、もっとも重要な器官のひとつとされています。
心‐小腸のトラブルは以下の項目に挙げられるような症状が特徴的です。複数あてはまる場合、一度漢方相談してみてください。
- 動悸を感じたり、脈が早い
- 息切れや息苦しい
- 不眠ぎみ、睡眠途中で目覚める
- 寝つきが悪い
- 夢が多い
- 顔がむくむ
- 手足がむくむ
- 物忘れが多い
- 胸の痛みや圧迫感
- 神経質・こだわりが強い
- ノイローゼ・なんとなく不安感
- パニック障害、自律神経失調
- 高血圧
- 低血圧
- 起立性調節障害
- 口内炎や舌炎ができやすい
- 舌裏の静脈が怒張している
- 舌を出すと曲がっている
- ろれつが回らなくなることがある
- 少しの運動で汗が異様に出る
- 寝汗をかく
- 狭心症・心筋梗塞・不整脈など心臓疾患
- 脳梗塞、脳出血
- 三味線のばちのような爪
- 爪の形がスプーンのように反り上がっている
- 舌の先端が赤い、または全体的あるいは部分的に紫色
- 左側の肩甲骨・首・肩こりや痛みを感じる
- 唇が青紫色
- 顔全体が血色がなく青紫色
- 顔全体が赤い、ほてる
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心 — 小腸についての中医学の考え方
ポイント!
心は血脈をつかさどる心は神を蔵し、五志は喜である心は裏、小腸は表心は舌に開竅し、その華は面にある自然界の盛夏・暑と関連があり、五液は汗である心は心臓の循環機能のほかに大脳皮質の精神活動、自律神経機能も含んでいます。五臓六腑が調和を保って活動することを監督しています。このため心は生命活動の中枢とされています。
気血の通り道である脈管内から漏れないように全身に運行するようコントロールする機能を持っています。心の血脈を管理する作用は心気(心に存在する気)の作用によるとされていて、心気が不足すると血液循環が悪くなり顔や唇が青紫色になり、脈の結代や心悸、胸痛などの症状が現れます。
大脳の働きの精神・意識・思考は心に帰属させています。心の働きに障害が生じると、精神状態にも影響が現れます。心臓の疾患のある方や心の血虚(血液不足)の場合、不眠・不安・焦燥感などの症状を伴うことが多いのは、このことを指しています。
心は精神活動の「喜」と関係があり、通常の喜びは心の機能を活発にしますが、過度の歓喜は精神活動に支障をきたします。心の機能亢進は笑いが止まらず狂ったようになり、機能低下は悲しみやすくなります。
心の病変は舌にあられます。舌は血管が集まり、大脳の言語中枢による支配を受けていることから、舌と心は深い関係があることが理解できます。実際に心の機能が異常亢進して、イライラ・不眠・胸の悶え・多夢などに悩まされると、舌の先端が赤くなったり、ただれることがあります。
盛夏は暑い季節ですから、タップリと汗をかき体内の水(津液)を消耗します。津液は体の大切な水分ですから、消耗すると血液がドロドロになるだけでなく、血管が弛緩して血圧が低くなり、拍動が弱くなると血液の流れが悪くなり瘀血になります。「汗は心の液」といい、暑くもないのに少し動いただけで発汗したり(自汗)や過度の発汗や寝汗(盗汗)は心機能の異常を疑います。
心と小腸は経絡を通じて表裏の関係にあります。小腸は胃で消化された食べ物を受け取り、さらに消化を進めて清濁(栄養素とカス)に分けます。分別された清は脾により吸収され、濁のうち固形分は大腸に送り、過剰の水分は膀胱に送ります。
脾 — 胃について
五臓の脾は、飲食物の消化吸収と全身へ栄養を配布する「運化」機能を受け持ちます。現代医学の脾臓とは異なり、消化器系の働きにほぼ相当します。また脾と胃と表裏の関係にあり、生理上一体となって消化吸収を行っています。
消化管の小腸・大腸も脾・胃と密接な関係がありますので、小腸・大腸の病理を脾胃と一緒に解釈し、弁証論治を行います。脾のトラブルは以下の項目に挙げられるような症状が特徴的です。複数あてはまる場合、一度漢方相談してみてください。
- 胃のもたれ・胸やけ・胃の痛み
- 食欲がなかったり、食べる量が少ない
- 食後に眠気が強い
- お腹が脹る・おなら
- げっぷ・吐き気・逆流性食道炎
- 消化に時間がかかる
- 太れず、倦怠感が強い
- 運動しても筋肉が付きにくい
- 手足がだるい
- 気力がない
- 味覚が悪い
- 胃のあたりを叩くと、水の音がする
- むくみやすい
- 頬のたるみや毛穴が気になる
- 下痢や軟便・残便感
- 便秘・便が硬い・コロコロ便
- 遊走腎・子宮下垂・胃下垂・脱肛
- めまい・立ちくらみ
- 歯茎が腫れる
- 唇が荒れる
- 口内炎、口角炎ができやすい
- 頭や体が重だるい
- 口の中が粘ったり、口臭が強い
- 唾液が多い
- あざができやすい
- 月経が止まりにくい
- 月経が早く来る(周期が短い)
- 出血しやすい
- 潰瘍性大腸炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 機能性ディスペプシア
- 小腸内細菌増殖(SIBO)
- 皮膚が黄色っぽい
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脾 — 胃についての中医学の考え方
ポイント!
脾は運化、昇清をつかさどる五志は「思」脾は肌肉、四肢をつかさどる脾は口に開竅し、その華は唇にある自然界の長夏・湿と関連がある脾は裏、胃は表である脾は「後天の本」であり、「気血生化の源」とされます。飲食物が「胃」に入っても、「脾」が正常に働かなければ栄養物は消化吸収されず、「気」「血」「津液」「後天の本」の生成がうまくいきません。「脾弱(ひよわ)」は栄養吸収のみならず疲労倦怠、免疫力低下にもつながります。
運化とは飲食物を脾胃の共同作業により消化し、生体にとって重要な物質(精微物質)に変化させて吸収し、全身に輸送して、四肢、皮毛、筋肉などの組織器官や五臓六腑が養われます。運化機能が低下すると、食欲不振、腹部の脹りやもたれ、腹鳴、下痢や軟便の症状があらわれます。口が甘い、口が粘るなどの症状があらわれます。また脾の健康状態は唇の色・つやに表れます。また、水(津液)の運化ができないと、胃内停水、痰や鼻水などの分泌物が多くなる、むくみ、おりものが多いなどの症状があらわれます。
脾の運化機能は、脾気(脾の原動力)の存在により発現します。脾気の特徴は上昇の性質をもつことで、吸収した精微物質を肺まで運び上げ、空気中の酸素に相当する清気と結合して栄養価に富む「血」が生まれるとされ、この清微物質を運び上げる作用を「昇清」といい、胃腸などの内臓を正常な位置に保ち、下垂しないようにします。脾の昇清作用が低下するとめまい、立ちくらみ、精神的疲労感などの症状と、内臓下垂、慢性の下痢などを伴います。
飲食物は胃から小腸に運び降ろされます。脾と表裏関係の胃の生理作用はすべて胃気によって行われます。もし胃に障害が生じると腹部膨満感・胃痛・悪心嘔吐・げっぷなどの症状があらわれます。
思慮が行き過ぎた場合、脾の生理機能が低下し、食欲不振・膨満感・眩暈などの症状があらわれます。脾は傷害されると痩せ細り、手足の力がなくなり、四肢を養えなくなります。
血を脈管内から漏れでないように運行させる機能を脾の統血作用で、その傷害を脾不統血といい、出血傾向になります。月経過多、月経が止まらない(崩漏)、血尿、血便、皮下出血などの下半身に出血がみられます。脾気の上昇機能が低下して下半身に起こりやすいと考えられます。
脾は「悪湿喜燥」すなわち湿気が多い長夏には脾に負担がかかるといわれ、食欲不振や胃腸風邪になりやすい季節です。
肺 — 大腸について
五臓の肺は、呼吸器系の作用のほかにも水分代謝の一部・体温調節・免疫機能の一部などを含めた機能系です。現在の各種のアレルギー(アトピー・喘息・鼻炎・花粉症など)は、肺の症状と深い関係があります。免疫機能の大本は腎ですが、肺の症状として現れるものが多く見られます。
肺‐大腸のトラブルは以下の項目に挙げられるような症状が特徴的です。複数あてはまる場合、一度漢方相談してみてください。
- 咳が出やすい
- 呼吸が苦しい・息を吸うのが辛い
- 気管支炎・喘息
- 気管支拡張症・肺気腫
- 胸が痛く、痰が黄色で粘っこい
- アレルギー性鼻炎、慢性鼻炎、蓄膿症
- 鼻水、鼻づまり
- 花粉症
- 痰が出たり絡んだりする
- 咽の違和感がある
- 喉が腫れやすい・イガイガ
- 風邪をひきやすい
- 湿疹・肌荒れ
- 乾燥肌
- ニキビ・吹き出物
- アトピー性皮膚炎
- むくみがある
- 多汗・汗かき
- 便秘
- 下痢・軟便
- 声が小さい
- 息切れをしやすい
- 熱がりの寒がり
- 声がかすれる
- 疲れやすい
- 乾燥に弱く、冬は加湿器が必要
- 皮膚の色が白い
- 新型コロナ、インフルエンザなどの感染症の後遺症
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肺 — 大腸についての中医学の考え方
ポイント!
肺は気を主り、呼吸を主る五志は「悲」肺は水道を通調する肺は宣発・粛降を主る肺は鼻に開竅し、咽喉に通じる肺は衛気を調し、皮毛に外合する肺は滋潤を好み、乾燥を嫌う秋に関係し、五志は悲(憂)である肺は裏、大腸は表肺の呼吸により清気(酸素)の吸入と濁気(二酸化炭素)の呼出というガス交換を行い、さらに生体の元気(生命力)の生成に関係するとされます。呼吸機能の低下は呼吸困難(息苦しさ)、咳、痰、喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)、鼻づまりなどの症状があらわれます。
肺は水分代謝を調節管理する作用があり、水(津液)を体表に運び汗にしたり、下の方へ下降させ、腎・膀胱を通じて尿として排泄するという作用があり、それが低下して「痰飲」という体内に水分が過剰にたまった状態になります。
肺の呼吸や水道を調節機能は、すべて宣発・粛降の働きにより行われています。宣発とは、気・津液などを上や外向きに送り出す働きを指します。すなわち濁気を外に吐き出す、他に津液を体表へ送り出し汗にするという作用です。粛降とは、気・津液などを下や内向きに送る働きで、清気を吸い込む、他に津液を体内・下のほうへ送るという作用です。
肺気により水(津液)を皮膚まで到達させることにより皮毛を潤します。また肺気の一部の衛気(防衛力)は汗孔の開閉・汗の分泌・立毛筋の調節などを行い、体温の調節や体液バランスの調節をする以外にも病邪の進入を防止したり、侵入した病邪に抵抗し排除するという抵抗力を高めていきます。
鼻は空気の通り道であり、また肺は呼吸を主るので、鼻は肺の開口部としています。また咽喉は気道の一部で肺の範囲に入っています。したがって肺の失調は鼻や咽喉にあらわれます。
初秋は残暑と乾燥で「温燥」に、立冬が近くなると寒気が強くなり「涼燥」に変化する。秋は枯れ葉が落ち、寂しくなりやすい。悲しみや憂いが多く、気持ちが落ち込むと抵抗力が落ちやすくなります。
肺と大腸は経絡で繋がっています。大腸の生理機能は食物の残渣を伝道し、水分を再吸収する働きがあります。
腎 — 膀胱について
五臓の腎は、臓象学説の中で最も重要な器官の一つとされています。これは腎が生命活動を維持する精を貯蔵していること、及び一身の陰・陽の本(真陰・真陽)を備えているという認識があるからです。種々の慢性病、あるいは更年期障害、高齢期における疾患の多くは、腎病の弁証論治により治療されます。
腎‐膀胱のトラブルは以下の項目に挙げられるような症状が特徴的です。複数あてはまる場合、一度漢方相談してみてください。
- 白髪が多い・増えた
- 髪が薄い・抜け毛
- 口の渇き・ドライシンドローム
- 虫歯・歯肉炎など歯のトラブル
- 歯周病
- 更年期の症状(ホットフラッシュ)
- 精力減退
- 不妊や流産
- 閉経(生理が3ヶ月以上ない)
- 骨粗鬆症
- 四十肩・五十肩
- ぎっくり腰・腰痛
- 脊柱管狭窄症
- 関節痛
- 虚弱児(背がのびない・成長が遅い)
- 認知症・痴呆
- 不眠(眠りが浅い)
- 耳鳴り・難聴
- 足腰がだるい
- 頻尿・尿漏れ
- 尿の勢いが弱い
- 腎臓疾患の経験がある
- 膀胱炎を繰り返す
- 病気が慢性化する
- 皮膚の色が黒ずむ
- 副腎の働きが弱い(ステロイドの使用経験がある)
- 免疫力が弱いか乱れがある(自己免疫疾患・膠原病など)
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腎 — 膀胱についての中医学の考え方
ポイント!
腎は精を蔵し、発育と生殖を主る腎は水を主る腎は納気を主る腎は骨を主り、髄を生じ、脳へ通じる。その華は髪にある腎は耳に開竅し、二陰を司る。腰は腎の府である自然界の冬・寒と関連がある五志は恐(驚)腎は裏、膀胱は表腎の生理機能は、西洋医学の腎臓の働き以外に、生殖器系・内分泌系・中枢精神系・造血系の機能を含みます。腎は精気を蔵する作用があります。
精気とは人体を構成する基本物質で、人体が先天的に持っている生長発育などの生命エネルギーを指します。人体の生殖能力や、成長・発育・老衰の過程は精気の盛衰により決定づけられます。体内の水液の輸布と調節を行い、水液代謝を正常に維持させる働きを持つことを指します。
呼吸機能は肺が主るが、吸気に関しては腎も関与しています。すなわち肺の吸入した気は体内奥深くに入り、最終的には腎に引き込まれていきます。骨の中の骨髄も一体と捉え、また脳は髄海といわれて骨髄の最大のものです。また髪の潤沢や成長、脱落、老化による脱毛なども精気の衰えと考えられます。
腎の精気が盛んであれば、聴覚機能が正常に行われます。耳鳴り、難聴は精気の衰えと捉えます。二陰とは前陰(生殖器・尿道)と後陰(肛門)ことで、生殖・排尿・排便機能を腎の気化作用が管理しています。腎は腰の器に納められているとされ、腎が弱ると腰痛などが起こるとされます。
生命活動を活発にする気は腎により生成された元気です。冬になり元気が低下すると冷えが強くなったり、病気に罹りやすくなる。恐は恐れおののくこと、驚は突然のショックのことで、ともに人に対して不良な精神刺激であり腎を損傷します。